夏コミ~。(渡辺ファッキン僚一)

ドワッハハハハ!
夏ファッキンコミは具体的にはまだ決まってないけどIndigo関係のなんかを
出す予定でござりますよ、ヘヴン!
原ファッキン稿をぼちぼち書いてるですよ、プレミアム!

というわけで、海保くんが主人公のこーんな感じのにしようなか~、
と思ってます。

Moon Yellow(仮題)

この下宿で一年半以上生活して手に入れたモノは何ですか? 
もしそう問われたら、俺はなんと答えるだろうか? 
集団生活の規律? 
親元から離れることで生まれる独立心?
んなもん、笑わせるぜ。バカらしい!
この下宿で生活しなくても手に入るような、そんなありきたりで、
具体性の乏しいことなんか答えない。
この下宿で手に入れたモノ。
それはズバリ言って、俺の部屋の鍵をこじ開けるために、
ドアの隙間に入れる下敷きの色で、
廊下側の人物を特定できるようになったことだ。
 ……いらねぇ。
どうしようもなく無価値な特技。
この下宿から出た瞬間、使い道がなくなる。
 ちなみに、涼宮ハルヒの下敷きは、高尾一。
赤一色なのは、桜野真菜。
黒と白のチェックは、沼沢先輩。
そして、今、まさに鍵をこじ開けようと、
隙間でこしゅこしゅされている緑色の下敷きの持ち主は……。
かちん、と鍵の開く音と同時に、ドアの向こうから、
「やった」というつぶやきが微かに聞こえる。
 ……やった、じゃねぇよ、ボケ。
ノブが回り、静かにドアが開く。
思ったとおり、廊下にいたのは、三つ編みの一年女子、
三日月春香だった。
俺とばっちり視線があった三日月は、
ひゃっ、と悲鳴を上げて大げさにのけぞり、
「先輩の意地悪! 気づいていたなら、そっちからをドアを開けてください」
「開けてください、じゃない。普通にノックすれば、
普通に開けた。なんでおまえらはそんなにも、普通、ができないんだ?」
「自分の幽(かくり)の中に殺人鬼を飼っている先輩に、
普通ができないのか? 
なんて言われたくありませんね」
「本当のことならなんでも言っていいってわけじゃねぇぞ。
俺は確かに異常かもしれないけど、
それでも他人の部屋に入る時はノックくらいする!」
「普通にノックなんかしたらおもしろくありません。楽しさ半減」
「俺の部屋の鍵を娯楽に使うな!」
 三日月は不満そうに横を向いて、
「私、高尾先輩や沼沢先輩より早く
先輩の部屋の鍵を開けられるようになりたい!」
「そんな競争はすぐにやめてしまえ! ハッキリ言うが、
おまえに鍵開けのは才能ない!」
 そうなのだ。こいつは鍵を開けるのが下手なのだ。
 高尾なら十秒。桜野なら一分で開けるのだが、
三日月はいつも十分以上、こしゅこしゅする。
 ……半年前の事件の時、俺の刀を奪うため、
何回もこの鍵を開けようとしたのに、
上手になる気配がまったくない。努力はしているみたいだから、
才能がない、
という判断で間違っていないと思う。
三日月は神に祈るかのように、顎の下で両手を組み、
えぐりこむような必死な目つきで、
「そんな悲しいことを言わないでください。
私、桜野先輩だけには、絶対に負けたくないんです!」
「なんで?」
「だって私……桜野先輩が先輩を見る時の、
この男は私の男よ、
というお顔が苦手……というか、許せない。
だからどんな些細なことでも桜野先輩に負けたくないんです。
いつか私が桜野先輩に完全勝利して先輩を解放してあげます」
「仲良しカップルを破壊しようとすんな」
 三日月は挑発するようなニヤニヤ横目で、
「……仲良しですか?」
「……仲良しに決まってんだろうが」
「そう言う割には最近、お肌を合わせていないようですけど~」
「肌? なっ、なんでおまえがそのことを!」
「あははは、何を言ってるんですか。
高尾先輩と私の好奇心をバカにしてもらっちゃ困ります! 
お二人がどれだけ息を殺しても壁に通販で買った聴診器ありですよ、痛ッ」
 ばこっ、と三日月の頭をグーで殴る。
「こっ、こんなに可愛い後輩に何を?!」
「壁に聴診器を当てる後輩は可愛くねぇ! 
っていうか高尾も知ってんのかよ!」
「まぁ、それはそれとして……」
「それとすんな!」
 あとからコイツと高尾は正座だな。
「とりあえずそれとして、桜野先輩となさってないのは本当ですよね?」
「……知らねぇよ」
 まぁ……本当だ。三週間くらい前に、
どういうきっかけでそうなったのかわかんないけど、
俺の性欲が凄くて……。それで……その……何回しても止まんなくて、
桜野が「やめて」ってずっと言ってるのに、
興奮が止まらなくて……桜野が気絶するまでしてしまったのだ。
セックスで気絶なんて、フィクションの出来事だと思っていたらかなり焦った。
そういったわけで、桜野が激怒してしまって……というわけだ。
「お二人の間に入るこのチャンスを逃さぬ手はありません!」
「逃せよ! 冗談じゃなく俺か三日月か、もしくは二人同時に殺される。
半年前に、桜野が血祭りを開催しそうになったのを
忘れたとは言わせないぞ。
アレの主賓が俺と三日月になるんだぞ」
 三日月は拗ねたようにそっぽを向いて、
「あんなのどうってことないです」
「どうってことあった! ありましたとも」

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